さくら総合病院医療法人 医仁会さくら総合病院
SAKURA GENERAL HOSPITAL

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新年のご挨拶 病院長 小林 豊

「時代遅れ」

さくら総合病院長 2023年ご挨拶0

「世も末」という言葉は、古い世代が現行の世の中を嘆いて使われることが多い言葉である。この「世も末」という表現は、仏教の末法思想に端を発する。末法思想とは、お釈迦様が説いた正しい教えで修行して悟る人がいる時代が過ぎると、次に教えが行われても外見だけ修行者で悟る人がいない時代が来て、その次には人も世も最悪となり正しい教えや悟りがまったく行われない時代が来る、とする歴史観のことである。お釈迦様の直弟子が、孫弟子とかに、「そ〜じゃないんだけどなあ〜」「今時の若いやつは・・・」と呆れて、「世も末」と悲観したことから始まったのである。お釈迦様が生きていたのは紀元前5-6世紀とされているから、今から2500年程前のことである。そんな頃から世代を超えると将来を案じたり、次世代を認めないという慣習があったことを指している。つまり、「世も末」と言った割には、それからずっと世は存在しており、進化進歩続けているのである。

さくら総合病院長 2023年ご挨拶1

親は新しい世代を憂いたり、心配するものである。それは自分たちの通ってきた道と景色が違うからである。そして、若いつもりでる自分も、さらに若い人たちを見て、「このままじゃ日本の将来は、、、」って口々に言う。我々が子供の頃、テレフォンカードを使って公衆電話で電話をしていた。待ち合わせは電話で決めて、すれ違うことも珍しくなく、そんな時は駅の伝言板が役に立った。相手の家の電話の留守番電話にメッセージを残し、その相手は自分の家に電話して、そのメッセージを聞くことで変更された行き先を知ったりしていた。あの頃、近い将来にみんながスマートフォンを持ち、自分の居場所をプロットした地図をLINEで送って、集合場所を予め決めることなく落ち合う日が来るなんて想像できなかった。ブラウン管には奥行きがあったから、テレビから貞子が出てきていたのであって、液晶テレビのこの時代、貞子には気の毒な環境となった。もう出て来られないだろう。

さくら総合病院長 2023年ご挨拶2


我々が子供の頃は、アメリカとソ連(当時)は冷戦の最中であったが、互いに実弾で攻撃することなく、終戦を迎えたものであった。そんな時代を過ぎて、今やロシアが隣国を砲撃し、一方的に併合しようとしている。これまでも世界のどこかで紛争やテロが起きてはいたが、世界が憂う本格的な戦争は我々の記憶にないが、これが現実となった。第二次世界大戦を経験した世界各国は、もう何人たりとても2度と戦争でいがみ合うことは望まない、と思っていた。でも違ったみたいである。この戦争で原料価格の高騰を来たし、製造業の部品の供給が滞った。物価の上昇は歯止めも効かず、それでいて賃金水準に優位な上昇はないため、生活は困窮を産んでいる。原子力発電所(以下、原発)の新規建設もなかなか認められない中で、電気代は1.5倍程度に跳ね上がった。発電効率に最も優れた原発を否定して、青天井の電気代に原発の恩恵がいかにあったかを認識させられる。「原発反対!」と言う人は、電気代が2倍になろうが3倍になろうが文句を言ってはいけないだろう。

親の世代から少子化は進んでおり、男女平等が叫ばれている中で少子化はおろか、結婚する人の割合すら減少に歯止めがかからない。このままでは税収も減る一方で公共サービスはままならなくなり、財源が減少した状態での社会保障の充実は矛盾を孕んでおり、誰も答えを持ち合わせていない。ウクライナの現状と北朝鮮の暴挙を鑑み、我が国も防衛費を増加させる方針らしい。でも、他国からの侵攻は免れたとしても、国の財政破綻は、戦争を超える不幸を国民に強いることになり、防衛費にかけるお金があるのであれば、まずは少子化にストップをかけないと、我が国の将来はサッカーのワールドカップやオリンピックとは次元の違う惨敗になりかねないところまできた。そんな中で、当院は30年、40年後のことを考えて、変革と進化が求められているのである。他の病院に負けないハートとスピリットは、「世も末」になっても長く社会に貢献し続ける病院の発展の礎になると信じてやまない。

[Human2023年1月号特集より抜粋]

さくら総合病院長 2023年ご挨拶3

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