診療看護師(NP)について
医師―看護師―多職種と連携してチーム医療の中心的役割を担うこと、
看護の質の向上に貢献することを目標に、これから努力してまいります。
※この記事は院内誌Human2019年5月号で紹介された過去の記事です
診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは大学院の修士課程において、医学の知識と初期医療に関する実践を修了した看護師です。医師が何らかの事情により患者さんへの対応が困難な場合に、迅速かつ安全な医療を提供することが当院での診療看護師の大きな役割の一つとなります。この中には、あらかじめ作成した手順書によって『包括的指示』により実施する特定行為※と、医師からの『具体的指示(直接指示)』により実施する相対的医行為(特定行為を除く)があります。相対的医行為の例として、腹腔穿刺、気管内挿管、ERでの救急対応、手術助手などがあります。また、患者管理の一端として、検査や処方などを代行入力することもあります。
米国では半世紀以上の歴史があるNPですが、本邦の診療看護師の歴史はまだまだ浅いです。2011年に看護系大学院で診療看護師の養成試行が開始されたのがはじまりです。幾度となく協議が課せられ、2014年に保健師助産師看護師法が改正、2015年10月より「特定行為に係る看護師の研修制度」が法制化されました。米国のNPと日本の診療看護師は歴史の違いもありますが、権限や業務内容も大きく違いますので、求められる役割が異なります。日本NP学会では「診療看護師とは日本NP教育大学院協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施するNP資格認定試験に合格したもので、保健師助産師看護師法が定める特定行為を実施することができる看護師」と定義づけられています。
これまで、本邦の高度実践看護師は認定看護師と専門看護師でしたが、あらたに診療看護師と特定看護師が加わりました。認定看護師・専門看護師は日本看護協会という看護の団体が、看護の専門性を高めるために協会独自で作り上げてきた制度ですが、診療看護師・特定看護師は厚生労働省が医師の業務軽減を目的に、特定の研修を修了した看護師に医行為を認める制度です。現状では診療看護師は民間資格(日本NP教育大学院協議会認定)となりますが、特定行為研修を修了しておりますので厚生労働省に届け出をして管理されています。
診療看護師は、従来の看護師よりも侵襲の高い処置が実施できるだけではありません。患者さんを全体で捉えられるように疾患に対する基礎知識や治療内容などについても専門的な教育を受けていますので、医師不在時でも患者さんの病状をタイムリーにとらえ、検査や処置を行ない、適切な説明を行なうことが可能です。治療方針などを的確に理解し、治療と看護の両方の視点から患者さんや家族に関れることも特徴です。
医療の質・安全性を担保して円滑な医療を提供すること、医師―看護師―多職種と連携してチーム医療の中心的役割を担うこと、看護の質の向上に貢献することを目標に、これから努力してまいりますのでよろしくお願いします。
※特定行為とは
診療の補助であり、厚生労働省により要件を定められた研修を修了した看護師が、手順書に基づいて包括的に実施することができる21区分38行為のことです。呼吸器関係、循環器関係、栄養関係、創傷治癒、動脈血、透析、インスリン、抗精神病薬と急性期から慢性期まで幅広く含まれています。特定行為の実施には実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が必要とされます。