耳鼻咽喉科 松本珠美医長にお話をうかがいました
※この記事は院内誌Human2023年5月号で紹介された過去の記事です
みみ・はな・のどに関する悩みがございましたらお気軽にご相談ください。
みなさまこんにちは さくら総合病院の耳鼻咽喉科に常勤医として勤務しております松本珠美と申します。2000年に藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学) を卒業し、名古屋市立大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座の関連病院勤務を経て藤田医科大学ばんたね病院勤務ののち、さくら総合病院に入職しております。
わたしの勤務している耳鼻咽喉科は1980年に大口クリニック(さくら総合病院の前身)が開設された 9年後の1989年に増設された診療科です。これまで長年に渡り先輩の先生方が継承されてきた診療を引き継ぎ、今後どのように発展してゆけるのか暗中模索しております。
では、ここからは専門分野のアレルギー学に関する話題を提供させていただきます。「アレルギー」は1906年に医学者クレメンス・フォン・ピルケによって作られた言葉です。ギリシャ語 の「Allos (変わる)」と「Ergon(ちから)」を組み合わせたもので、邦訳のない言葉のひとつです。現代医学のなかでアレルギーはとても広い範囲の 病態をさしており、ゆえに日々学問の奥深さを感じています。
鼻アレルギーについて
耳鼻咽喉科医ですので鼻アレルギーについて少し説明したいと思います。鼻アレルギーは一般的にはアレルギー性鼻炎といわれており、アレルゲンを鼻から吸入することで体の中で感作が成立した場合には再び鼻からアレルゲンを吸入すると、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを生じます。
少し話はそれますが、この過程で大きな役割を果たすIgEという免疫グロブリンがあります。IgEは1966年に日本の研究者 石坂公成・石坂照子両博士によって発見されています。その功績は 大きく、ノーベル賞に値しますが、公成博士は妻の照子と一緒に受賞できないなら辞退するとして賞を受けなかったと伝わっています。このエピソードを皆さんはどうお感じでしょうか。
では話をアレルギー性鼻炎にもどします。アレルゲンの種類により季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎に分類します。季節性はスギやヒノキなどの花粉、通年性はハウ スダストやカビなどがアレルゲンになります。治療は薬物療法・免疫療法・手術療法・抗体療法 があります。主流は薬物療法ですが、それぞれの治療にはメリット・デメリットがあり、ご自身の状況を踏まえて主治医の先生とよく相談して決定するのがよいと考えています。私自身も幼少期からアレルギー疾患を抱えていたこともあり、他人事ではありません。ひとりでも多くの患者さんがより良い日常生活を送れるよう、お手伝いできたらと思っておりますので、みみ・はな・のどに関する悩みがございましたら お気軽にご相談ください。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医
日本アレルギー学会専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
緩和ケア研修会修了
嚥下機能評価研修会修了
日本医師会認定産業医