皮膚科 水野雄貴医長に「皮膚科について」お話をうかがいました。
※この記事は院内誌Human2021年8月号で紹介された過去の記事です
皮膚トラブルをゼロにはできませんが
より早く症状を改善させ、より良い状態で生活ができるよう
お手伝いさせて頂ければと思っています。
皆さんは、皮膚科というとどんな病気を連想されるでしょうか。
「にきび」、「あせも」、「とびひ」や「みずむし」など、きっと多くの名前が挙がると思います。なじみのあるものが多く、それだけ昔から皮膚トラブルが身近なものだったのでしょう。
皮膚科では、湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、水虫、ニキビをはじめとした一般的な皮膚疾患から、ほくろや血管腫などの皮膚腫瘍、皮膚癌、膠原病、乾癬、水疱症、脱毛症、白斑、巻き爪、熱傷、皮膚潰瘍まで幅広く皮膚疾患を診察しています。皮膚科では、皮膚に起こる変化全般を扱っていますが、口腔粘膜、毛髪や爪も含まれるなど、外から見える部分のほとんどが対象ですので、どこに受診したら良いか分からない場合には、まず皮膚科を受診してみてください。
ほくろをはじめとした皮膚の出来物に対しては、手術枠を確保して切除術が行なえるようにし、「出来物が何なのか気になる」、「心配なので取ってほしい」といった声に答えてゆければと思います。
また、巻き爪や陥入爪には、爪の矯正術・形成術を行なえるようにしてゆきます。
皮膚癌であった場合には早期切除が重要なのは分かりやすいと思います。一方で、「巻き爪の処置なんて大げさじゃないの」と思われるかもしれません。しかし、たった1か所の指の痛みで歩くことがおっくうになって、徐々に筋肉が衰えて寝たきりに近い状態になってしまうこともあります。
まして痛みから転んで骨折するような事になれば生活への影響は計り知れません。
皮膚疾患は身近な一方で、病状が軽いものと考えられがちですが、恐い病気も多く存在します。例えば、床ずれと聞くとそんなに大したことがないように聞こえるかもしれません。しかし、実際には床ずれが皮膚を破り、筋肉・骨に達している患者さんに多く出会います。また、水虫でも手足の皮膚一面がめくれることもあります。水虫があけた穴から細菌が侵入し、足がパンパンに腫れて入院治療を必要とする場合もあります。悪化してからだと、治療に時間がかかり傷跡が残ることになるので早期の治療が大事になります。
痛い、かゆいといった症状が続くと生活の質がぐっと下がってしまいます。
虫に刺されない事が難しいように、皮膚トラブルをゼロにはできませんが、より早く症状を改善させ、より良い状態で生活ができるようお手伝いさせて頂ければと思っています。
同じようにみえる皮疹ですが、その赤みや表面の変化から改善・悪化の徴候を感じ取って、治療方針の調整を行なっています。皮膚のトラブルで困った事があった時には、皮膚科までご相談ください。