さくら総合病院 医療コラム
さくら総合病院
人工関節センターについて

田中歩 整形外科部長・人工関節センター長にお話をうかがいました

※この記事は院内誌Human2024年3月号で紹介された過去の記事です
 
さくら総合病院 整形外科・人工関節センター 田中歩と申します。私は1992年に筑波大学を卒業し、母校の整形外科に入局後関連病院で研鑽を積みました。当初は膝関節外科を専門としてきましたが、徐々に股関節、とりわけセメント固定人工股関節を学びたいと考えるようになり、2006年に日本におけるオーソリティの一人であった愛知医大の大塚博巳先生のもとに国内留学させていただいたのをきっかけに、2007年より愛知県に転居してまいりました。以後現在まで、膝・股関節外科手術を中心に診療を行なっています。愛知県に来てからの人工関節執刀件数は1500例を超えました。本稿では、これから当院で行なう人工関節手術についてご紹介させていただきます。
 
このたびさくら総合病院では、人工股関節全置換術(THA) や人工膝関節全置換術術(TKA) およびそのリハビリテーションや看護に関して最新の知識や技術をいち早く取り入れ、患者さんにより良い医療を提供することを目的に、人工関節センターを開設いたしました。高齢化社会にともない、変形性関節症や関節リウマチなど、関節の痛みを引き起こす疾患でお悩みの患者さんはたくさんいらっしゃると思います。比較的軽症の患者さんは消炎鎮痛剤や関節注射、筋力トレーニングなどの保存的治療で症状の緩和が得られますが、関節破壊の高度な患者さんに対しては、痛みをなくし関節の機能を取り戻すために人工関節置換術が広く行なわれています。現在の人工関節手術は長期成績も向上し20年以上の耐久性が期待されており、麻酔の進歩ともあいまってわが国でも手術件数は年々増加傾向にあります。
 
当院では人工股関節全置換術(THA) の場合、大腿骨側は原則として金属性のポリッシュ・テーパーステムというタイプの機種を用いてセメント固定します。すでに40年におよぶ優れた長期成績が明らかとなっており、現在世界で最も多く使用されているセメント固定ステムです。人工膝関節全置換術(TKA) の場合は、BCS型とよばれる機種を用いてセメント固定します。現在の人工関節手術は手術の翌日から全体重をかけての歩行練習を開始し、2週間程度で退院可能です。股関節・膝関節とも痛みが片方だけでなく両方とも強い場合には、両側同日手術も行なっております。両側同日手術の場合も翌日から歩行を開始し、3週間で退院可能です。また、関節の変形が比較的軽度の患者さんの場合には、股関節では骨切り術や股関節鏡手術、膝関節では関節鏡手術に加え年齢に応じて高位腔骨骨切り術(HTO) や単顆置換型人工膝関節(UKA)なども行ないます。
 
1月からは通常の整形外科外来に加え、毎週水曜午後、股関節・膝関節専門外来を開設しております。当外来では、当科で手術をご希望の患者さんはもちろんのこと、膝や股関節の手術について詳しくお知りになりたいという患者さんや、他院通院中の患者さんのセカンドオピニオンなどにも対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

 

整形外科部長・人工関節センター長
専門医・所属学会
日本整形外科学会専門医
日本人工関節学会認定医

〈所属学会〉
日本整形外科学会
中部日本整形災害外科学会
日本股関節学会 評議員
日本膝関節学会
日本人工関節学会 評議員
岐阜人工関節フォーラム 幹事
Hip Forum 幹事

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